当社は「誰もが創造的で豊なキャリアを築ける社会へ」という理念のもと、キャリアに関する研修や セミナーを行っている。 今回は、「居場所」に着目し、人生(キャリア)の幸福度との関連や、求められる居場所の特徴などを 調査するため、社会人107名へアンケート調査、9名へインタビューを行った。 また分析中に「青年期」がキーワードとなってきたため、青年期の方々へ追加調査中である。 本レポートにより、「居場所」の重要性について考えるきっかけとなることを願う。

[1]調査概要

実施方法 | 主にインターネット、SNSで依頼しアンケートフォームに回答 一部の方に対面・オンラインでインタビューを実施

回答者|  107名の社会人(内9名にインタビュー)

調査期間 |アンケート:2020年10月~2023年3月 、インタビュー:2023年4~5月

実施者 |株式会社eight 愛知県豊田市西町1丁目200 豊田参合館1F info@8eight8.jp

愛知県を中心として全国の社会人に、インターネットを通じてアンケートを依頼。 107名から回答を得られており、分析、考察に十分と考えられる。 対象者は社会人と絞っており、学生や子どもに対しては別途調査が必要である。

今回「居場所の数が多い人ほど、人生の幸福度が高いのではないか?」という仮説を立て、調査を 行った。”幸福度×時期別×居場所の特徴”という視点での調査は、人生の 豊かさを考える上で非常に多くの気付きを得られた。

アンケート内容|https://forms.gle/qGeTh3pHXbj97y116

居場所的コミュニティ調査まとめ_202309 (←PDFはこちら)

2.コミュニティ、居場所の定義

本文にはコミュニティ、居場所という言葉が多く出てくるが、様々な定義があるため、本文中における定義を示す。

 

3.回答者の属性

 

4.回答者の幸福度

4-1.幸福度の指標

幸福度を測る指標として主観的幸福尺度(SWLS尺度)を用いた。これは幸福研究の第一人者であるディーナー博士によって開発されたもので、5つの質問に対し、回答者はそれぞれ点数をつけ、合計点を算出する。合計点が高いほど、主観的幸福度は高いと判断する。今回は分かりやすくするため、点数順に4つのグループに分類した。

<質問と回答項目>

4-2.結果

以下の円グラフのように、幸福度が高い人が35%と一番多かった。
続いて普通、非常に高い、低いの順番となったが、半数以上が幸福度が高いことが分かった。

回答者の平均は25.5点で、平均と言われる2024点を少し上回った。また幸福度と回答者の属性に相関は見られなかった。 

[参考]
平均:20~24点
アメリカの学生平均:23~26点
日本の学生平均:18~22点

5.過去、現在におけるコミュニティ原体験について

5-1 調査内容

幸福度と居場所の関連を調べるため、年齢ごとに時期を区切り、居場所について質問を行った。
 <年齢の区切り>
乳幼児期~壮年期まで5つの時期

 

<質問と回答項目>

5-2 結果:全体回答(幸福度別)

幸福度別にみると全体回答に差が見られた。

幸福度が非常に高い人は「居場所が複数ある」と回答した割合が44%、対して幸福度が低い人は10%であった。

また「居場所があまりない、全くない」と回答した割合は35%と、他の幸福度と比べ大きく差があった。

5-3 結果:時期による変化

次に時期ごとに、回答の割合をグラフに示した。

上段の乳幼児期、学童期はどの幸福度も居場所は「あった」が最も多く、幸福度での差はない。下段の青年期から幸福度別に変化が見られるようになり、幸福度が非常に高い人と高い人は「複数あった」が約半数となる。それに対し、普通の人と低い人は学童期と変わらず、「あった」が一番多い。成人期、壮年期も同じ特徴のまま、はっきりと分かれてくる。

5-4 結果:居場所の内訳

時期ごとの居場所の内訳は、幸福度により大きな差は見られなかったため、全体の回答を示した。

学童期までは親・家族という居場所がほとんどで、青年期に初めて友達が親・家族を上回る。

成人期から壮年期には、親・家族が最多に戻り、職場や趣味サークルなども増加する。

5-5 結果:質問項目

質問項目について、乳幼児期や学童期では幸福度別に大きな差は見られなかったが、青年期になると、変化が見られた

以下は質問項目に対する、最も多い回答を記載したものである。

幸福度別に差があったのは、「本当に困った時に頼れる人・居場所」と、「心がほっとする、安心できる人・居場所」の2つの質問だった。幸福度が高い人は「複数あった」という回答が多かったのに対し、全体平均や低い人は、「あった」「あまりなかった」が多かった。

5-6 ここまでのまとめ

5-7 青年期での特徴

今回の調査を通して、青年期に様々な変化があることが分かった。

<居場所の数> 幸福度が低い人も、青年期は居場所が「複数あった」の割合が一時的に増加

<居場所の増加率> 学童期から青年期に1.5倍と居場所の数が増加

以上より、 青年期の出来事、居場所の原体験が 幸福度と強い関連があるのではないかと考え、 より詳細を調べるため、インタビューを実施した。

5-8 インタビュー

居場所が学童期まで「あった」→青年期から「複数あった」人を中心に9名の方に協力いただいた。

5-9 インタビューまとめ

これ以降の結果については、PDFを参照ください。