eightおにきです。
年末に実施させていただきました
保育士さんの働くにフォーカスしたアンケート調査。
その結果について報告書がようやく完成いたしました。
309名の方にご協力をいただけたこと
本当に感謝申し上げます。ありがとうございました。
これが全てではもちろんありませんが
保育士不足の課題に対して
世間一般に言われているところから
もう少し踏み込むことができたような気がしています。
前置き長くなりましたが
報告書をベースに、今回の調査結果について
テーマを■保育士さん不足を解消するには?■として
個人的な思いや感じていることも入れながらお伝えしたいと思います。
■保育士さん不足を解消するには?■
アンケート調査目的:
女性のキャリアを「学び」と「実践」の場と機会をつくることで応援する株式会社eightが、保育士有資格者向けにアンケートを実施。三河地域を中心に事業展開する中で保育士の育休復帰率が低い、復帰後の退職率が高いという相談を受けることが多く、まずは現状把握するべくアンケートを実施した。
実施方法:主にインターネット、SNSで依頼しアンケートフォームに回答
回答者 :309名
調査期間:2016年12月4日~12月23日
今回、回答してくださった保育士さんのうち7割近くが未就学児童をもつ
ママさんたちでした。SNSでの調査ということで偏りはありますが
ある意味いいデータです!えっへん。
報告書は、働き方の状況別に「現役」「産休育休中」「離職中」「潜在保育士」というように4つに分けて分析、報告をしています。
まずは、その結果をざっとご紹介します。
まとめ&提案(報告書よりそのまま掲載)
保育士不足の課題解決のために優先して取り組むべきは
給与や雇用制度、規制緩和などのハード面よりも
業務改善、評価のあり方、日々のマネジメントなどのソフト面である。
今回の調査結果の中で改めて分かったことは、保育士の仕事に従事している(た)人の多くが、仕事にやりがいを感じ、できれば続けたいと考えていることだ。そして給与待遇の低さに対して単純に不満があるのではなく、残業や持ち帰り仕事、責任の重さなどに対しての適切な手当や報酬がないことに不満を持っているということを強調したい。保育士不足の課題に対して給与や待遇を単純に改善すれば良いということではない。愛知県のデータでも示された通り、給与待遇が比較的よくても保育士継続につながっていないことが分かった。
では、どうしたら良いのか。今回の調査結果を踏まえて考えると、保育士のやりがいである「園児の成長」に注力できる環境をつくることがまずは重要だということを指摘したい。そこに着手しながら、待遇の改善に努めていってほしい。書類や行事の企画運営やそれに伴う大量の制作物など、専門的な知識や心を通わせる必要のない仕事に関しての適切な選別をし、在宅ワークの女性などへのアウトソーシングや、テクノロジーや便利な器具などに大いに頼るべきである。保育士への評価も、プロセスに対する賞賛や、よりよい保育を実践し成果を上げた人への報奨金など、簡単に取り入れられそうな仕組みを職場単位でできないだろうか。また、実務スキルだけではなく成長意欲を満たすようなキャリアデザイン研修など教育機会を増やすのも効果的である。
これまで女性の職場、福祉の職場ということで日本社会の中では地位が低かった保育の世界に、男女共同参画社会が進んできた今こそ、ロジカルな思考や技術的な指導を男性視点で入れていってもいいのではないか。トヨタ自動車(株)のお膝元であるこの地域の保育園だからこそ、例えばトヨタ生産方式を知るトヨタ自動車(株)OBOGが現場でアドバイスする派遣システムを導入するなど新しいアプローチで課題を解決して行けるのではないだろうか。
以下、報告書の内容をかいつまんで説明しています。
よろしければご覧下さい。
また、報告書はHPよりPDFでダウンロード可能です。どうぞご活用ください
現役保育士さん
現在就業中の保育士について特筆したいのは、総合的に
「やりがい」を持っていて、
「働き方に満足」していて
「やめる気」はあまりない
ということでした。
正社員のフルタイム勤務者の働き方満足度は低かったですが
やりがいや成長意欲を持って保育士の仕事をしていることがわかりました。
そして、やりがいの一番は「園児の成長を感じる」ときです。
それはそうですよね、子どもが好きでその成長に関わりたいと思って
保育士になっている人が多いだろうなと想像できます。
また、自身の成長意欲が高いことも強調したいです。
ここではグラフを割愛していますが、成長を阻む要員として一番に上がったのは「時間がない」でした。育児や介護と仕事を両立している期間については、eightでも推奨している「オンタイム」での学びの場をぜひ提供してほしいと思います。
産休育休中保育士さん
回答者数が18名と少数意見になってしまいましたが
産休育休中の皆さん94%が復帰後の働き方に不安と回答。ほぼ全員です。
不安要素のダントツは「育児と家事の両立ができるのか」ということ。
どんな職種でも不安を抱えていますが、保育士さんの場合は特にその不安が
強く出ているなとフリーコメントから分かります。
保育士の復帰前、復帰後のフォローに力を入れるべきですね。
【フリーコメント抜粋】
・時短勤務希望だが取る人が少なく、理解が得られるか、仕事と家事の両立ができるかも不安。 (20代,女性,豊田市,0-1歳,公立保育園,正社員)
・育児家事仕事の両立ができるか心配。人が足りないことから休みが取りにくい。そのため、我が子の行事に行けなかったり、体調を崩しても思うように休ませてあげられなかったりする。そういう状況の時に、辞めた方がいいのかなと迷うこともある。(30代,女性,豊田市,0-1歳,公立保育園,正社員)
・時短ではないフルタイムでの復帰なので仕事と家庭を両立できるのか
(30代,女性,愛知県外,0-1歳,公立保育園,正社員)
・家事育児との両立、子どもへの負担。賃金が仕事量に見合ってない。終わりのない仕事だし、常に時間が足りない。もっと効率の良いやり方 はないのかと常に思うが、慣習もあるしなかなかうまくいかない。疲れる。
(30代,女性,名古屋市,0-1歳,公立保育園,正社員)
・子どもの送り迎えや家事をこなしながら、持ち帰りの仕事などなど本当にできるのだろうかと不安しかない。園児が最終的に帰ってから定時の時間までの間にできることは限られてしまい、どうしても時間外での業務になる。しかしそれには残業代は出ないのが現状。したがって他の 職種に比べて、家に持ち帰ってする仕事が多く、それは給料に反映しない。それを帰宅してから家事育児をしながら続けていくのはなかなか大 変なので、そこらへんをうまく改善してほしい。
(30代,女性,愛知県内,2-6歳,公立保育園,正社員)
離職中保育士さん
一度でも保育士として勤務したことがあるが、現在は離職している方についてです。
離職から5年以内が63%を占めていました。
特筆すべきは「復帰意向あり」と答えた方が62%と過半数以上いたことです。
個人的には、もう嫌になっちゃった人が多いのかと思っておりましたので
少し驚きでした。
ただし、復帰する際の働き方としては、パートや短時間勤務を希望される方が
圧倒的に多かったです。
アンケートの回答者が子育て中の女性が多いことが影響されていますが
彼女たち経験者に復帰してもらえるような労働環境や仕組みをつくることは
保育士不足への対策として非常に重要だと思います。
【復帰意向なし回答者のフリーコメント抜粋】
・書類が多すぎる、持ち帰り仕事が多すぎる。(30代,女性,豊田市,2-6歳,公立保育園,パート)
・人様の命を預かるものとして働く保育士はそれに見合うお給料をもらうべきであり、園や市町村、国からの支援をより手厚いものにすることで、保育士不足や待機児童の削減に繋がると思う。また民間の託児所や企業内での託児所などの併設も復職を希望する女性にとってはありがたいものかと思う。(30代,女性,東郷町,2-6歳,私立保育園,正社員)
・帰ってからの持ち帰り仕事があるので、子育てしながら保育士をしようという気にならない。(30代,女性,豊田市,2-6歳,公立保育園,正社員)
・行事に追われて帰りが遅く、家庭とのバランスはとれない。責任の割に給料が安い。親からの要望が多く、その対応にも追われてしまうと、精神的につらい。子育てとの両立は園の方の寛大な考えや協力がないと無理だと思う。我が子の体調不良で休むことや家庭の用事などで休みたいときに、どれだけ快く対応してもらえるか。残業が多く給料が安い、休憩時間も無ければ有休が取れないのはつらい。理想、やりがいだけでは続かない。(30代,女性,豊田市,2-6歳,私立保育園,正社員)
・小さな閉ざされた世界の中で、女同士戦う戦場のような場所でした。保育は大好きだけど、そのままいたら、自分のことを、人を大切にできない人格になってしまうと感じました。人の弱さを受け入れ、助け合える職場だったらと思います。そのためには余裕が必要。また他の世界と接する機会が必要だと感じます。 (40代,女性,愛知県内,小学低学年,公立保育園,正社員)
・保育園、幼稚園が働きやすい職場になり、より良い教育や子育てができることを願っています。書類の時間が勤務時間内にとれる人的環境や、園内の保育研修で保育の質の向上と相互理解、等きりがないほどの待遇改善が早急に必要だと思う。(50代,女性,豊明市,高校生以上,公立保育園,正社員)
・働き方の多様性を認める。複数担任でみんなでみんなを見る形態。出産後は担任ひとりで一日中一年受け持ちするのはとても厳しい。それぞれが家庭も大事に仕事をできる環境をつくる。 (40代,女性,安城市,小学高学年,私立幼稚園,パート)
・公立であっても給料が低くブラック企業のような待遇を受けることに納得がいかなかった。子供と関われる仕事としては最高だが、待遇が悪すぎるのが問題だと思う。 (20代,女性,愛知県内,なし,公立幼稚園,正社員)
・正職員として勤務していた頃は仕事の多さや 持ち帰りの仕事が多く こどもたちはかわいいが こどもが好きだけでは できない仕事だなぁと 感じたこともあります。短時間勤務や 職員同士の協力理解で 子育て時期の職員も 働きやすい環境があると結婚、妊娠を機に退職する職員も 復帰しやすいのかなと思います。 (30代,女性,名古屋市,なし,私立保育園,パート)
・保育士の仕事は、やりがいがありますが、とても 大変な仕事だと思います。命を預かる仕事ですから。待遇の悪さと、重労働、家庭との両立が難しく、12年ほど保育士をしましたが、辞めました。 (40代,女性,名古屋市,小学低学年,個人事業)
潜在保育士さん
保育士資格を持ちながら、今まで保育士として勤務したことがない、いわゆる「潜在保育士」の皆さんからも多くの回答をいただきました。
保育士の仕事についてみたいと答えた人は、33%と少なく、「どちらでもない」と答えた人が過半数いました。
コメントなどから推察すると、保育士への悪いイメージが先行していることと
具体的な保育士のイメージがわかないということが影響していると感じました。
そして、その結果「お給料など待遇がよければ保育士の仕事に就きたい」という
回答が圧倒的に多くなりました。
保育士経験者の退職理由で最も多かったのも「給与待遇」でしたが、潜在保育士の言うそれとは意味合いが違うのかもしれないと気づきました。
つまり、経験者は「残業や持ち帰り仕事、責任など労働に見合った待遇」を求めているのに対して、潜在保育士はおそらくマイナスイメージから想起して待遇を求めているのではないかと言うことです。
真実はわかりませんが、今回の調査を通して見えてきたことの一つでした。
【フリーコメント抜粋】
・資格は持っていて、子どもも大好きです。子育てがもう少し落ち着いたら保育の仕事いいな、と思いますが、経験がないので現場に入るのに勇気がいります。また、早朝や遅番などの募集は多いですが、日中の短時間や週に数日という枠はなかなかありません。子どもが学校に行く間の時間をもう少し活用できるような枠、ベビーシッターなどの枠がもっも増えたら働くことがもっと身近になるように思っています。 (30代,女性,豊田市,2-6歳,主婦,事務系)
・保育は人を育てる大切な仕事。その子どもの人生の基盤を育む時期に関わる責任感ある仕事。今の保育士さん、幼稚園教諭の先生方は多忙すぎる。園の特色(私立、公立、地域、考え方)にもよりますが、先生1人が生活から運動、音楽、絵画、様々な知識を要し、保育していくのだが、専門性には欠ける。私立では専門講師等が伝えていたらするが、公立では先生の力量で子どもの日々の遊びの幅が限られて来る。私立、公立平等に専門性持った先生が各部門持ち回りで保育していくことも大切なのではと感じる(中学校の先生のような)。今の保育士不足もただ増やしてもな~と感じる。需要と供給、プラスより良い保育が出来てる未来を信じて、僕も子育てしながら、保育士とは別のジャンルで地域の子育て世代に自分の知識、伝えたいことを楽しいうんどう遊びを通して伝えていこうと思います。 (20代,男性,岡崎市,0-1歳,個人事業,講師・先生)
・母親になって気になっていることなのですが、「子どもを預けて働く方が楽で良いよ!」と言う人たちが意外と多くて、その人たちのために自分が保育士として働くことは嫌だなと思ってしまいます。母親・女性が輝く世の中を!と、近年よく言われますが、母親・女性が輝いていても、次世代を担う子どもたちが輝けない世の中で良いのかな?と、個人的には疑問を持っています。社会に出て働くことも社会貢献として大切な仕事ですが、子どもを産み育てることも非常に尊い仕事であり、偉業であるということを自覚することも大切なのではないでしょうか?
(30代,女性,豊田市,0-1歳,正社員,講師・先生)
・重労働のイメージしかありません。 (30代,女性,愛知県内,0-1歳,正社員,営業)
・10年前に資格取得しましたが、保育士の職についたことがありません。激務だとわかっているから、両立できる自信がないのです。せっかくの資格を生かせず、申し訳なく思っています。 (40代,女性,愛知県内,2-6歳,主婦)
・保育士資格取得後、障害者施設(18歳以上)に勤務し、保育士としての経験が全く無いため、保育士として働くことに不安があります。資格はあるが経験のない人、ブランクのある人向けの研修のようなものがあれば良いかと思います。 (40代,女性,愛知県内,2-6歳,正社員,医療福祉系)
・保育所はあるのに、保育士の数が足りていないのは、子どもを育てながらする職種としては非常に金銭的にも体力的にもしんどいことが1番の理由だと思っています。そもそも子どもが好きで保育士になっているので、自分が親になったら、我が子第一で働きたいと思うのは当然ではないでしょうか。 (30代,女性,名古屋市,2-6歳,個人事業,クリエイター)
・未経験、試験で資格取得しました。子育てと両立を考えると今後、正社員よりパートなどの短時間で考えています。保育士として働いた事がないので何とも言えませんが、仕事量に見合った賃金がもらえないといつまでも保育士不足のままだと感じています。保育士が自分の子どもを預けれなければ働けないので保育士優先で保育所に入れれるとかできればもっと働きやすいのかなとも思います。(20代,女性,愛知県内,2-6歳,パート,接客サービス)
・子育てとの両立がしやすそう!な勤務時間や職場なら、保育士として働きたいと思う。(30代,女性,名古屋市,0-1歳,パート,講師・先生)
・最近保育士の資格がなくてもはたらけるようにとの話よく聞きますが、それではなぜ保育士の資格があるのか。誰でもいいのではないと思います。保育士の資格を持っていても働いていない人はたくさんいるのでまずはそこの見直しが1番しないといけないと思います。元が給料も安く労働時間も長いところがほとんどなので少し見直して、少し給料を上げたところで他の企業からしたらまだまだはるかに条件としては厳しいと思います。そこを本当に見直して欲しいです。(30代,女性,名古屋市,0-1歳,主婦,講師・先生)
・一般企業と比較すると、園内部がわかりづらい。一旦採用されると異動がほとんどないために、人間関係がこじれやすく、修復が難しいのではないだろうか。保育士は、一括りにされがちだが、経験値だけではない評価があっても良い。保育や幼児教育の職場では、社会的な視野が狭いものが多いと感じる。(50代,女性,愛知県外,高校生以上,嘱託職員)
・保護者との関わりについて、学生の時に学べるといいなと思います。(30代,女性,愛知県外,2-6歳,派遣)
・やりがいのあるお仕事だと思います。もう少し子どもの手が離れたら保育士のお仕事をしたいと思っています。(30代,女性,名古屋市,2-6歳,個人事業,講師・先生)
・給料をもっとあげるべき(40代,女性,愛知県内,2-6歳,主婦,事務系)
・自分の子どもたちに負担をかけない時間帯で働けたら、今すぐにでも保育士として働きたいけれど、求人を見ていると、自分の子どもが大きくなってからでないと働けないように思います。そのときの自分の歳が気になります。(30代,女性,名古屋市,2-6歳,パート,接客サービス)
・子供を保育所に預けるまで、保育士さんというのは子供好きなお姉さん達で、日中遊び相手をしてくれているものだと思っていました。自分が利用し始め、こんなにも業務が多岐にわたり、責任も重く、力仕事でもあり、でも日々明るく朗らかに子供達と向き合ってくださっている…と保育士さんの見方が180度変わりました。現在就いている仕事はやり甲斐も給与面も両立支援も現時点では文句なしですが、先が見えない不安もあり、転職を考えるようになりました。具体的な目処はたっていませんが、その時には一生続けられる子供の福祉の仕事がしたいと思い、保育士の資格を取りました。勉強を始めるまで、国家資格であることも、栄養や教育史まで学ぶことも、何も知りませんでした。改めて現場の保育士の方々に頭の下がる思いです。保育士という職業が高度な専門職であることが、広く社会に認識されるようになってほしいと思います。(30代,女性,愛知県外,2-6歳,正社員,専門・技術)